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【海洋散骨】違法?グレー? 法律やかかる費用を整理

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海に遺骨を撒いて供養する「海洋散骨」。葬儀を行ったり、お墓を購入したりするよりも、費用を抑えて供養ができることから注目を浴びつつあります。海洋散骨を行うにあたって注意すべきポイントやマナーを整理しました。

そもそも散骨って?

パウダー状にした遺骨を海や川、山などに撒いて供養を行う散骨。テレビなどでも取り上げられ、認知度が高まりつつあります。

厚生労働省が1,100人の男女を対象に行った調査(2013年実施)では、約半数もの人が散骨という供養方法を知っていることが明らかになっています。

とくに海に遺骨を撒く「海洋散骨」は多数の有名人が行った方法でもあり、よく知られている葬送のありかたではないでしょうか。

海

写真:sybarite48 / Visualhunt

実は多い、海洋散骨で供養された有名人・偉人

海外では元ビートルズのジョージ・ハリスンや、インドの指導家マハトマ・ガンジー、国内では石原裕次郎さん、X JAPANのギタリストhideさんなどが海洋散骨で供養されています。

石原裕次郎 湘南にて散骨。
梨元勝 東京湾にて散骨。
荒井注(元ザ・ドリフタ―ズ) オーストラリア・ケアンズにて散骨。
hide(X JAPAN) ロサンゼルスにて散骨。

このように、多数の著名人が海洋散骨を行ったこともあり、「死んだら骨は海に撒いてほしい」と希望する方も多いのではないでしょうか。

海に散骨って違法じゃないの?

ただ、いざ海洋散骨を行おうと決めても、「勝手に撒いてもいいの?」、「法律的に大丈夫なの?」などといった疑問が湧いてしまうかもしれません。

結論から言うと、海に骨を撒くことは違法ではありません

しかし、我々が不安になるのは当然で、お墓や葬儀に関する法律である「墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)」で、散骨に関する定めが一切ないからです。

六法全書

写真:紺色らいおん / photoAC

法律では定められてはいないものの、1991年に法務省が「散骨は法的に問題ない」という見解を示しているので、散骨自体に違法性はないという認識で間違いないでしょう。

葬送のための祭祀(さいし)で節度をもって行われる限り(散骨は)問題ない。

参考:「『散骨』認めます 法務省が見解「節度あれば」 市民団体が実行」(『朝日新聞』1991年10月16日朝刊1面)

また、厚生省(現・厚生労働省)の生活衛生局企画課も、法務省が公式声明を出した同年に、「(散骨を)禁じているわけではない」との立場を表明しています。

写真:シルバーナー / photoAC

一方で、法務省や旧厚生省の意見が「墓地埋葬法」に反映されているわけではないので、散骨はいまだにグレーな部分があると言われてしまいます。

そのため、独自に条例を定めるなどして散骨を認める自治体もあります。

散骨のガイドラインを定める自治体

静岡県の熱海市は、「国際観光温泉文化都市」としてのブランドを保つため、海洋散骨についてガイドラインを定めています。

海

写真:編集部撮影

たとえば、海洋散骨を行う事業者に対して、熱海市内から10キロ離れた海域で行うことや、「熱海」を連想する文言を宣伝で使用しないことなどを命じています。

そのほか、以下の自治体が散骨に関しての条例を定めています。

北海道・長沼市

長沼町さわやか観光づくり条例

北海道・岩見沢市

岩見沢市における散骨の適正化に関する条例

埼玉県・秩父市

秩父市環境保全条例施行規則

個人で勝手に撒いてもいいの?

ただ、このようにガイドラインを制定している自治体は少なく、一般的には散骨をするにあたって、散骨地の自治体や行政機関への届け出は必要ありません

しかし、もし気になるのであれば、散骨予定場所の市役所などに確認するのが一番良いでしょう。

市役所の記入台

写真:himiko / photoAC

海洋散骨でトラブルを防ぐためには?

役所への申告がとくに必要ないとはいえ、大事な家族の遺骨を撒くときに問題は起こしたくないものです。

注意するポイント

絶対に遺骨が骨だと分かる状態で撒くのはやめましょう。

必ず遺骨はパウダー状にしてから撒く必要があります。遺骨が遺棄されたものだと間違えられないようにするためです。

そのほか、漁業関係者から注意を受けたり、海近くの土地所有者から訴えられてしまうことも想定できます。

漁師と漁船

写真:あほうどり / photoAC

これらを防ぐためにも、海洋散骨を執り行う葬儀社に依頼するのが一番安心な方法だと言えるでしょう。

葬儀社が行う海洋散骨

散骨当日の流れ

葬儀社が行う海洋散骨は、ボートで出航し、岸から数キロ離れた場所で遺骨を撒くという方法が一般的です。

海洋散骨当日の流れ

図:編集部作成

散骨後に船上で献花をするのがベーシックな流れですが、献花に加えて献杯(けんぱい)や、下船後にお別れ会を行うプランなどもあります。

海洋散骨、いくらかかるの?

散骨の費用は一般的に、2万円から数十万円ほどとされています。お墓にかかる費用の相場が、東日本では150万円~300万円とされているので、お墓を購入するよりも金額を抑えて供養ができます。

しかし、お別れ会を開いたり、お坊さんを呼んで散骨を行うとなると当然費用は高くなります。

海と花

写真:ゆかぼん / photoAC

「散骨は費用がかからない」というイメージが先行しているので、「思ったより高かった」などの事態は防ぎたいものです。故人の想いや要望に合わせたプランで、散骨方法を選ぶのがベストではないでしょうか。

この記事の著者

セネクト編集部

SENECT(セネクト)編集部。老後に向け、検討しておきたいテーマ、知ってると役立つ、知らないと損する制度などをご紹介します。

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