コラム

相続紛争の3割が資産1,000万円以下

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「争って何の意味があったの?」こう言い切ったのは終活弁護士の武内優宏(たけうちゆうこう)さん。「終活フェスタ2017」(東京都大田区)のパネルディスカッションにて、その真意を明かしました。

武内優宏弁護士

写真:編集部スタッフ撮影

「相続の争いは増えている」

「かつて日本の社会は家社会。相続や遺産は割り切った方程式で、次の家長に継いでいた」

まず、長男が財産を受け継ぐ「長子相続(ちょうしそうぞく)」に触れ、日本の相続環境を振り返ったのは、光明寺の大洞龍徳(おおほらたつのり)住職。

その後、遺産はすべて平等に渡すようになったと時代の変化を語るも、「相続の争いは増えている」「1時間や2時間。当たり前のように、兄弟の揉め事を相談される」とします。

相続の写真

写真:xiangtao/ PIXTA

「家一軒あれば揉め事」

また、多くの相続紛争を担当してきた終活弁護士の武内優宏さんは、トラブルが起きやすい家族の特徴を明かします。

相続は、財産が多い少ないではない。ほとんどの相続問題は、あまり財産がない人によって生じる。

家一軒あればもめごとが発生する。

ほとんどの方が、『自分たちが揉めるとは思わなかった。まさか調停になるとは思わなかった』と言うんです。

司会を務めたキャスターの大村正樹(おおむらまさき)さんは、驚きを隠せない様子。「財産の多い少ないの基準がわからないのですが、平均して遺産はどのくらいになるか?」と、質問を返します。

すると、武内弁護士はデータを示します。

全体でどの位になるか分からないが、裁判沙汰になっている相続紛争の75%が5,000万円以下の場合。

貯金はなくても、自宅やマンションがあるだけで、相続トラブルの原因に成りえる。

裁判までいった全体の3割は1,000万円以下の資産

遺産分割事件のうち認容・調停成立件数

出典:『平成26年 司法統計年報』より編集部スタッフ作成

「争ってなんの意味があったの?」と、呆れてしまったこともあると明かした武内弁護士。

さらに、「親からの愛情のかけ具合にちょっと不満を覚えていたとか、兄貴ばっかいつも優遇されていた」といった家族間、兄弟間の問題がこじれにこじれ、“争族”に転じるケースがあると分析。

大村キャスターも「亡くなっても、浮かばれない」と、苦渋の表情を浮かべました。

一方で、武内弁護士は、「最後の手段が法律」「家族みんなで合意が取れていれば、そもそも民法は従わなくていい」と、本来あるべき相続の在り方を提唱。

「法律が入らなくても良い老後を過ごしてほしい」と、メッセージを残しました。

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セネクト編集部

SENECT(セネクト)編集部。老後に向け、検討しておきたいテーマ、知ってると役立つ、知らないと損する制度などをご紹介します。

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