制度の解説

《成年後見制度》【問題点】と【対策ポイント】を専門家が解説(PR)

取材協力:

 

「介護する親の生活費を引き出そうと銀行に行ったら、『成年後見人が必要』と言われた。後見人ってなんだろう?」――。大切な家族を守る「成年後見制度」の解説を、花葬儀で相続手続の相談を務める司法書士の門脇紀彦さんに、葬儀での役割を葬祭プランナーの山田久美さん(花葬儀)にうかがいました。

成年後見人制度を解説する司法書士の門脇紀彦さん・花葬儀(株式会社リベント)の山田久美さん

司法書士の門脇紀彦さん・葬祭プランナーの山田久美さん(花葬儀)

司法書士・門脇紀彦
中央大学法学部卒業。相続や成年後見が絡む複雑な権利関係を解消しながら、財産承継のコンサルティングを行い、現在累計依頼件数700件を超える。「相続法務 成城事務所」代表司法書士、株式会社絆コーポレーション代表取締役、東京司法書士会世田谷支部支部長。また、花葬儀の相続手続相談室の顧問としても活躍されている。司法書士の現場で日々感じる「両親の大切さと先祖への感謝の気持ち」を体現化させるため、家系図を世に広める活動を展開している。

成年後見制度とは?

認知症や精神的な病によって判断能力が失われてしまった場合、自分自身で財産を管理することが難しくなり、日常生活に支障をきたしてしまいます。 そのような人たちを保護、支援するために存在するのが、「成年後見制度」です。

被後見人を守るための制度

成年後見制度は、判断力がないと診断された人の「意思」と「財産」を守るためのもの。 家庭裁判所が選任した成年後見人が、判断能力が欠けてしまった人(=被後見人)を、想定される困難や詐欺行為から守るために存在しています。

成年後見制度では、被成年後見人の「意思がどこにあるのか」を重視しなければいけない。

認知症とはいえ、「ああしたい、こうしたい」という意思はあるのです。(門脇さん)

また、成年後見人を選ぶ際、以下の2パターンがあります。

任意後見

任意後見は、判断能力が正常なときに将来を見越して後見人を事前に選ぶ方法です。 「将来認知症になったらどうしよう……」と、あらかじめ自分のお世話をしてもらう人を選定します。

法定後見

法定後見は、法律によって支援者を定める方法です。 任意後見が事前に後見人を選ぶのに対して、法定後見は親族などの第三者が家庭裁判所に申し立てを行い、家庭裁判所が後見人を選任します。 任意後見人よりも、「法定後見人の割合の方が圧倒的に多い」そうです。

認知症以外で後見人が必要なケース

一方で、成年後見制度を利用するのは、認知症患者だけではありません。 たとえば、「精神的な病で後見人を選ぶケースも多い」と、門脇さんは明かします。門脇さんが後見人をつとめる方のなかには、認知症患者だけでなく、ひきこもりや統合失調症などの方もいるそうです。

門脇先生

写真:編集部撮影

急に成年後見人が必要になることがほとんど

成年後見人の申し立て理由で、一番多いのが「預貯金を下ろしたい」というケース。

介護が必要な親の代理で銀行に行ったところ、「後見人を選んでから来てください」と言われてから、急に後見人を探す人が多いのです。(門脇さん)

成年後見人の役割

成年後見人の役割は大きく二つ。一つが療養看護、もうひとつが財産管理です。

療養看護

療養看護は身体的に不自由がある人のお世話をする役割です。親族が後見人になる場合は、療養看護も財産管理も両方行うことが多い、と門脇さんは話します。 しかし、第三者が後見人になる場合は、療養看護よりも財産管理を担当する場合が多いそうです。

財産管理

財産管理は、文字どおり被後見人の財産の管理をする役割です。弁護士や司法書士などの法律に詳しい専門家が担うことが多いそう。 弁護士が後見人になるのは、財産があって親族間で紛争する可能性がある場合や、家族間でトラブルがあるときが一般的とのこと。 一方で司法書士は不動産に詳しいので、不動産管理が必要な場合などに司法書士が成年後見人になるケースが多いそうです。

成年後見人、誰がなるの?

大切な家族との意思疎通が難しくなった場合、誰を後見人にしたら良いのでしょうか?

後見人の多くが、親族以外の「第三者」

最高裁判所の報告によれば、親族が後見人になることは少なく、司法書士や弁護士などの第三者が後見人に選ばれる場合が多いそうです。

第三者の後見人が増えた背景

門脇さんによれば、つい5年前までは親族が後見人になるほうが多かったそう。なぜ、この割合が逆転したのでしょうか?

後見人になった親族による横領事件が多すぎるからです。

よく報道されるのは、司法書士や弁護士が後見人の地位を利用して、被後見人の財産を横領する事件です。

しかし、実際は親族の方が横領しているケースも金額も多いのです。ただ、親族が横領すると言っても、厳密にどこまでが横領なのかわからないですよね。(門脇さん)

お父さんが認知症になってしまい、後見人になったあともお父さんのお金で生活している人もいると思います。

しかし、そんな人が「ちょっと贅沢したい」と、そのお金で旅行に行ってしまったらその時点で横領になるのです。(門脇さん)

家族の場合は横領の線引きが難しいと、門脇さんは話します。 また、家庭裁判所もチェックしていますが100%ではないので、亡くなったあとに横領が発覚することもあるそう。

横領が発覚したときに後見人じゃない親族が、「監督義務違反を犯した」と家庭裁判所を相手に訴訟を行うんです。

横領事件や訴訟問題になるのを防ぐためにも、今は弁護士や司法書士が後見人になるケースが増えています。(門脇さん)

また、流動資産と呼ばれる“現金化しやすい資産”が1,000万円以上ある場合は、「第三者の後見人が選ばれる可能性が高くなる」(門脇さん)といいます。

手続きの流れや申し立てにかかる費用を整理

成年後見人が必要となった場合、被後見人の住所地の家庭裁判所に申し立てを行います。 申し立てから成年後見人が決まるまでのフローは以下のとおり。

家庭裁判所に申し立てをしてから、成年後見人が決まるまでの流れ

図:編集部作成

たとえば、東京家庭裁判所の場合では、成年後見人の申し立てをする前に、面談の予約を行います。そのあとに申し立てを行い、審判で成年後見人が確定します。 申し立てから審判までは、1か月から2か月とされています。

成年後見人の申し立て費用

申し立てにかかる費用の例は以下のとおり。

必要なもの 費用
収入印紙 800円
切手 3,320円
収入印紙代(登記費用) 2,600円

出典:東京家庭裁判所立川支部『成年後見申立ての手引』より編集部作成

成年後見人に支払う基本報酬

管理財産 基本報酬
1000万以下 月額2万円
1,000〜5,000万円以上 月額3~4万円
5,000万円以上 月額5~6万円

出典:東京家庭裁判所『成年後見人等の報酬額のめやす』より編集部作成

一度申し立てをしたら、取り消しはできない

成年後見人を立てることを考えている人は、申請時に十分な覚悟が必要です。 「後見人の申し立てをした時点で、取り消すことは難しい」、と門脇さんは注意。

病院の診断書で後見人が必要と判断され、家庭裁判所に申し立てをしたら取り下げができないのです。

たとえば、理想としていなかった人が後見人になっても、取り下げは無理です。その人とどうやって関係性を築くかを考えるしか解決方法はありません。(門脇さん)

成年後見人をやめる方法

成年後見人の役割は、被後見人が亡くなった時点で終わります。 また、診断された症状が治り、後見人が必要ないと判断された場合は、成年後見人選任の審判を取り消すことができます。

成年後見人の「葬儀」での役割

後見人としての役割が終わった時点で、被後見人の家族との関わりも制度上は無くなりますが、亡くなった被後見人に近親者がいない場合は、後見人から葬儀社に連絡が来る場合もあると、葬祭プランナーの山田さんは語り明かします。

後見人の方が、事前に葬儀社を選定されて、提示した見積もりを元に葬儀のプランを選んでいきます。
なので、急に亡くなったからといって連絡が来ることはあまりないです。(山田さん)

花葬儀の山田さん

写真:編集部撮影

また、どのくらい葬儀に予算をかけるかどうかは、その方の財産に比例していきます。

後見人の方から予算をおうかがいして、範囲内でできる予算を決めていきます。(山田さん)

花葬儀では後見人による葬儀も手厚く対応

花葬儀では、“喪主主導”で葬儀を行うのか、“後見人主導”で行うのかを十分に把握したうえで葬儀を行うそうです。後見人による葬儀も手厚くサポートしています。

門脇さんと山田さん

写真:編集部撮影

なかでも特徴的なのが、成年後見人の方でも契約できる「葬儀契約書」を用意していること。後見人による葬儀の連絡にもすぐに対応できるそうです。

葬儀費用は一度こちらで全額立て替えをし、後日、後見人の方からお振込みいただきました。
故人様が、「家族には心配をかけたくない……」と後見人を立てられたようですが、葬儀の打合せも後見人がいらっしゃったことでスムーズにお話も進みました。
故人さまの想いも叶えられ、ご家族との金銭トラブルなどもなく、安心してお見送りできたのではと思います。(山田さん)

また花葬儀では、後見人をあいだに挟んでの“葬儀の生前契約”にも対応しています。

生前に弁護士を後見人としていた故人さまのご家族から、「生前契約をしたい」と花葬儀にご連絡をいただきました。「他社では『できない』と断られた」との相談内容でした。
そこで私たちは、ご連絡をいただいた当日の午後に、ご家族と後見人の方と一緒に打合せをおこない、ご家族にも納得いただける見積書を作成しました。
その流れで夕方には葬儀契約書を取り交わしたものを家庭裁判所に送り、無事に受理されたという経験もあります。(山田さん)

このように、花葬儀では問い合わせの時点で事情を把握するので、「葬儀社側からすると、大きなトラブルは起きたことはない」と、葬祭プランナーの山田さんは語ります。

成年後見人を立てた時のトラブル事例や問題

一方で、成年後見人を立てた場合にどのような問題やトラブルが想定されるのでしょうか。

相続税対策が難しい

成年後見人がいる場合、「相続税対策をするのが難しい」と門脇さんは明かします。

一番効果的な相続税対策は、生前贈与をすることなのですが、成年後見制度の運用上、被後見人の財産を減らすことは相反する考えなんですよ。

家庭裁判所では、とにかく“被後見人の財産を減らさないこと”を重視するので、厳しい制約があるといえるでしょう。 (門脇さん)

急に家族が倒れて意思疎通がとれなくなったら、その時点で相続税対策をしにくくなってしまうそう。「これは、今の法律上の不備だと思います」(門脇さん)

葬儀で家族のこじれが露呈することに

また、親族がいる場合は、葬儀の段階で親族間トラブルが生じてしまうこともあるそう。

以前、親族間で揉めていた被後見人の方から、「息子を葬儀には呼ぶな」と言われたことがありました。

その方には介護をしてくれるお孫さんがいたのですが、息子さんとは仲が悪かったようです。そこで私は本人の意思どおり、知らせない決断をしました。
あとで、「実の息子に知らせないとはどういうことだ」と言われましたが、どうしようもない。そこで呼んだとしたら、息子さんとお孫さんとの関係が悪化してしまいます。そのあたりの判断は非常に厳しかったです。(門脇さん)

花葬儀の山田さん

写真:編集部撮影

成年後見人選び、ココに注意

弁護士や司法書士などの専門家が成年後見人になる場合、候補者名簿から選ばれます。 一方で門脇さんは、信頼のおける専門家が名簿の中から見つかることは難しい場合もあると話します。

名簿に載っている司法書士のなかには、経験がない人もいます。

そういう人だと、コミュニケーションをとりにくい人がいたり、「財産を減らしちゃいけないから生前贈与は一切だめです」という人もいる。そういう人にあたっちゃうと何にもできない。(門脇さん)

理想の成年後見人は?

では、どのような人が“信頼のおける成年後見人”なのでしょうか。

私なりの考え方ですけど、「法律論でしゃべらない人」ですね。

家族の問題って“法律の問題”ではなく、“感情の問題”なんですよね。(門脇さん)

司法書士の門脇さん

写真:編集部撮影

法律上、「兄弟全員平等です」となっていたとしても、家族に対する役割は兄弟間でも違うんですよ。

家族というのは、それぞれの役割によって成りたっています。それが単純に法律上の割合で相続が決まるっておかしい。
法律を前提にサポートをする必要はありますが、法律論をかざしても解決はできないのです。(門脇さん)

信頼のおける成年後見人の見つけ方

門脇さんは、良い成年後見人を見つけるコツは「事前に準備すること」だと強調します。 また、専門家とのコネクションがあると、その方を候補者として指名することができるので、それが一番安心な選択だといいます。

信頼できると感じる人は簡単には探せない。急に探そうと思っても選択肢がない。目の前にいる人しか選べない。
ある程度先を見越して、準備をしていればそれなりの人に会えるかもしれないのです。

自分の家族のリスクを知って、どういう専門家がいるのかをあらかじめ把握して、「こういう専門家が必要だよね」っていろんな人に相談することが必要。(門脇さん)

あとは信頼できる人の口コミです。

直接専門家の知り合いはいない人でも、身近な人に専門家を知っている人がいれば、紹介してもらうのも良い選択です。(門脇さん)

「終活」として死ぬための準備をする人はいるものの、「認知症になったときを想定している人はまだまだ少ない」と門脇さんは指摘。 「もし自分が認知症になったら……」イメージは湧きづらいかもしれませんが、もしものときのために将来を見据えて、事前にリスクと解決策を把握することが大事だと言えるでしょう。

この記事の取材協力

花葬儀

株式会社リベント「花葬儀」。“世界でたったひとつのお葬式”をコンセプトに掲げ、専属フラワーデザイナーとともに、デザイン性豊かなオーダーメイド方式での葬式を提案。東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県約800斎場で葬儀事業を展開する。アンケート調査では満足度97.3%。「その方らしい葬儀」としてTBS、日経など多数メディアにも特集されている。

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