iDeCo「年払い」変更前に、知っておくべきこと(サムネイル画像)

制度の解説

iDeCoを年払い→2つのメリットと3つのデメリット

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年単位に支払い回数を減らすメリット・デメリットは? iDeCo(イデコ)の掛金の拠出プランが「毎月定額」(5,000円以上、1,000円単位)から「年1回以上」へと制度改正されました。納付月と金額を任意で指定することができ、毎月の12回払いだけでなく、年1回または半年に1回……と、まとめて支払うことも可能に。ファイナンシャル・プランナー高橋成壽さんにポイントを解説していただきました。

ファイナンシャル・プランナーの高橋成壽(たかはし なるひさ)さん

ファイナンシャルプランナー高橋成壽(たかはし・なるひさ)さん

「年払い」と「月払い」の違い・注意点

2018年1月の制度改正にともない、iDeCo(個人型確定拠出年金)では掛金を毎月拠出する必要がなくなりました。拠出限度額も年単位に変更となりました。

つまり、1年間でどの月にいくら拠出するのか、納付回数と金額を選択することができます。

ideco・個人型確定拠出年金の拠出限度額の表(月額・年額)

表:編集部スタッフ作成

具体的に「加入者月別掛金額登録・変更届(K-030)」と呼ばれる書類を提出することで、年間計画を決定します。
計画では、今年&来年以降の拠出額と引き落とす月を定めます。

期間に注意(拠出と納付)

「加入者月別掛金額登録・変更届」をみると、拠出月と納付月がずれていることに注意が必要です。“実際の支払いは翌月の26日になる”と覚えておけばいいでしょう。

たとえば、1月分の掛金は2月26日(毎月26日)に銀行等の預金口座からの引き落としによって納付されます。

拠出と納付のズレ

つまり、口座引き落としの場合、拠出は12月~翌年11月までですが、実際の納付は1月~12月となります。

また、限度額を翌年に繰り越すことができない、残高不足など引き落とされなかった場合は追納できないことにも注意してください。

もし、ボーナス時期のみの支払いにしたい場合、支給に合わせて納付回数を設定することも可能です。また、掛金額・拠出内容の変更は12月~翌年11月の間で1回まで可能です。

前納ができない

なお、iDeCoを年単位で拠出する場合、“前払い”ができません
加入してからの“経過月”の累計額で納付可能な額が決まります。

例)
iDeCo加入初年度のケースで考えてみます。
年間拠出額の上限が14.4万円(月額1.2万円)の人が、9月に加入します。

その場合、9月~11月までの拠出額3.6万円(1.2万円×3ヵ月)を3回に分けて支払うタイミングがあります。

ただし、前述の経過月の考え方があるため、初年度は3ヵ月分の拠出に制限されます。加入月からさかのぼった月分を支払うことができません。

9月に5千円、10月に5千円、11月に使い残しの2.6万円を拠出するといったプランも可能です。

つまり、iDeCoに加入したばかりの人が、初年度から所得控除のメリットを最大限に活用しようと思った場合、加入月から11月(12月納付)まで月額の拠出額の合計が、最大の納付額となります。

ideco(イデコ)の年間拠出計画の例

年間の拠出限度額14.4万円の例
グラフ:編集部スタッフ作成

翌年も同様に、1月~11月分の納付を1万円ずつで11万円、12月のみ残額3.4万円をまとめて支払うことで、“毎月一定額+年末に残額”、あるいは冬のボーナスにあわせて14.4万円(年間の拠出限度額)を一括納付する方法も可能です。

最低の拠出額に注意

一方、毎月の最低拠出額は5千円です。1年間で6万円となります。

よって、年1回払いで最低拠出額を満たそうとする場合、初年度は加入月~11月までの毎月の拠出分の累計額を11月に拠出(12月納付)。

翌年以降は、毎年11月(12月)に6万円を拠出(納付)する必要があります。
※現行の制度では、11月拠出(12月納付)が必須のため、年末に一括納付することになります。

年払いに変更する手続き方法

すでにiDeCoに加入している人は?

まず、前述の加入者月別掛金額登録・変更届」を運営管理機関に提出する必要があります。

運営管理機関のホームページからダウンロードする方法やコールセンターに依頼する方法で書類を取り寄せることができます。

次に、年間の拠出上限額の範囲で毎月の拠出額を記入します。年間計画とは、毎月の拠出額をいくらにするか決めることです。毎月定額で拠出したい人は、書類の提出は不要です。

新たにiDeCoに加入する人は?

新規でiDeCoに加入する方は、申し込みの際、「加入者月別掛金額登録・変更届」に納付月ごとに金額を記入し、提出することになります。毎月定額の拠出を希望する場合は、提出する必要はありません。

企業型に加入している人・給与天引きの人は?

給与天引きでの拠出が可能か会社に確認してください。
難しい場合は、掛金の納付方法を事業主払込(給与天引き)から個人払込(口座引き落とし)に変更することで年単位の拠出が可能です。

変更までの期間はどのくらい?

金融機関が「加入者月別掛金額登録・変更届」を受理した月の翌々月から反映となります。4月に提出すると6月の引き落とし分から反映されます。2ヵ月かかると覚えておくといいでしょう。

【メリット2つ】年払いにしたほうがいい人

iDeCoの掛金を年単位で支払うメリット2つを説明します。


  1. 手数料を節約
  2. ボーナス払いで所得控除をフル活用

年単位で支払い、手数料を節約

iDeCoは拠出するたびに手数料が発生します。そのため、手数料を節約したいと考えている方は、年単位拠出で年1回の支払いにすることで「国民年金基金連合会の手数料(月額103円)」を節約することができます。

iDeCoの加入期間に支払う手数料は、「事務委託先金融機関への手数料(月額64円)」、「国民年金基金連合会の手数料(月額103円)」、「運営管理機関への手数料(金融機関によって無料)」の3種類があります。

掛金の引き落としに必要となる国民年金基金連合会の手数料は、毎月納付の場合は12回分、年単位の拠出であれば1回分で済みますので手数料が12分の1になります。

個人型確定拠出年金(ideco)にかかる国民年金基金連合会の手数料(月額103円)を年単位と月単位で比較したイメージ図

イメージ図:編集部スタッフ作成

具体的に計算すると、事務手数料103円は12ヵ月分で1,236円、1回のみの支払いであれば103円。11ヵ月分の差額1,133円を1年間で節約することができます。

定期預金など元本確保型の商品は、超低金利のご時勢で利息をつけることが難しいですが、長期間の運用を考慮すれば、手数料の節約効果は大きいでしょう。

【参考】:個人型確定拠出年金(iDeCo)で定期預金(元本確保型)→メリット・デメリットは?

ボーナス払いも可能

年単位の拠出を上手に活用し、拠出限度額の使い残しを減らすことができます。
たとえば、iDeCoに毎月積み立てる余裕がない人は、ボーナスに合わせてまとめて支払うことで、年間の拠出額を増やすことができます。

口座引き落としの場合、ボーナスが支給される時期を確認して、まとまった掛金の支払いに対応できるようにしましょう。

【デメリット3つ】年払いにしないほうがいい人

iDeCoの掛金を年単位の支払いにするデメリット3つを説明します。


  1. ドルコスト平均法ができない
  2. 複利効果が減る可能性
  3. 年末調整と確定申告

ドルコスト平均法を使えない

特定の月にまとめて購入する年単位で拠出する人は、毎月定額で積み立てることで投資タイミングの分散を狙うドルコスト平均法」による運用メリットを最大限いかすことができません。

具体的に、毎月ではなく毎年購入によるドルコスト平均法となり、価格の変動幅(リスク)が大きくなる可能性があります。
投資信託などの商品で、時間(購入時期)の分散を徹底したい人は、毎月定額の積み立てが適しているでしょう。

複利効果が減る可能性

iDeCoの拠出が年1回となると、月払いのケースと比べ、価格の変動が大きくなる可能性があります。
もし、たまたま毎年の購入タイミングに価格が高くなった場合、毎回高値づかみすることになり、投資効率が下がる懸念があります。

また、毎月の購入よりも運用期間が短くなるため、利息が利息をよぶ複利効果が得られにくくなる場合があります(毎月払いの人より成果がでる場合もあります)。

年末調整に間に合わない→確定申告の手間

たとえば、10月にiDeCoに加入すると、納付は11月になります。
すると、掛け金納付の履歴となる小規模企業共済等掛金払込証明書」の発行が翌年の1月になり、年末調整の時期に間に合いません。

そのため、書類が届いたら自分自身で所得税の申告書類を作って提出するか、税理士に依頼するなどして投資金額を昨年分の所得控除として確定申告する必要があります。

確定申告の期間は毎年2月15日~3月15日。毎年の収入を翌年の2月15日~3月15日に申告するのが確定申告です。

(文:ファイナンシャル・プランナー高橋成壽さん、構成・編集:SENECT編集部)

この記事の著者

高橋成壽(FP)

ファイナンシャル・プランナー高橋成壽(たかはしなるひさ)。保有資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)。1978年生まれ、神奈川県鎌倉市出身。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2007年、寿FPコンサルティング株式会社を設立。横浜を拠点とし、コンサルティングサービスを行う。NHK、朝日新聞、プレジデントなどメディアへの掲載実績多数。

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