藤川太(ふじかわふとし)さん

老後のお金

人生100年時代のマネー戦略、ファイナンシャルプランナーが教えるコツ

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人生100年時代。来たる老後に向け、どのような手順で資産の形成、運用をするべきでしょうか。2万世帯の家計診断に携わってきたファイナンシャルプランナー・藤川太(ふじかわふとし)さんが、そのコツを明かします。

「資産運用 EXPO」が2018年1月26日に開催。『“人生100年時代”の「ライフプラン」と「資産形成」とは』のテーマの下、講演が開かれました。

「家庭の見直し相談センター」代表取締役のファイナンシャルプランナー・藤川太(ふじかわふとし)さんがスピーカーを務めました。

ファイナンシャルプランナー・藤川太(ふじかわふとし)さん

写真:編集部スタッフ撮影

いま、一番増えている相談は?

過去20年間で、ほぼ無収入から年収6億円の人まで、多くの相談にアドバイスを返してきたという藤川さん。

これまでの事例を振り返ると、現在寄せられる悩みのトレンドは「家計診断」。他にも「教育費」や「老後資金」など、将来必要なお金を考える人が増えているのだとか。

相談内容トップ3

  • 「家計診断」
  • 「資産運用」
  • 「不動産投資」

藤川さんは、こうした相談に応えるため、どのように将来のお金を構築すべきか、資産運用に向けてのポイントをまとめます。

我が家はいくつ? 家計状況5つのレベル

藤川さんによると、自分の家計の経済状況を図る目安「家計のステージ」は、5つあるといいます。

  1. 「自転車操業家計」
  2. 「収支のバランスを取る家計」
  3. 「お金を貯められる家計」
  4. 「資産形成を目指す家計」
  5. 「資産を守るべき家計」

「自分の家計がどのステージにいるのかを確認し、そのステージを上げていくにはどうしたらいいか」(藤川さん)

ステージ1:自転車操業家計

お金が回っていないっていう家計です。こういう家計は、なんとか支出の見直しをして、収支のバランスが取れるようにしていきます。

ステージ2:収支のバランスを取る家計

でも、収支が“トントン”になるだけだったらちょっと寂しいですよね。

そこからお金を貯められるところまで持っていかなきゃいけないです。

ステージ3:お金を貯められる家計

計画的にお金を貯めていって、しっかりと何年後までにいくら貯めるっていうのを実現していきます。

ステージ4:資産形成を目指す家計

貯めるだけだったらなかなかお金は増えません。

お金が貯まってきてきたら、今度は運用を行うことで、さらに資産の増え方が加速していきます

ステージ5:資産を守るべき家計

お金がどんどん貯まっていくと、少しずつ資産を守っていくっていう発想になっていくんですね。

たとえば、「少しでも税金が少ない運用方法がいい」とか、「過剰なリスクをとらないようにしよう」と、どんどん守りの発想になっていきます。

まず、自分のステージを知る。そして徐々に上げていく。「これが資産形成の基本」だと藤川さんは述べます。

「家計版バランスシート」

また、家計の財務状況を知るために活用したいのが、「バランスシート」。

バランスシート

説明資料より編集部作成

表で自分の資産や負債を明らかに。現在、保有している純資産はどのくらいなのか? 数字で示すことによって、具体的に把握できます。

半年か一年ごとに作っていただいて、純資産がどういう風に増えていくのかを管理していく。

これが本当の資産形成になっていきます。

人生の「使い時」「貯め時」を知る

資産形成にあたって、もうひとつ考えなくてはいけないのが、お金の使い時。それを知ることが、マネー戦略を構築する上で重要になります。

「将来いくらお金が出ていくかを把握する」(藤川さん)

子どもがいるケース
説明資料より編集部作成

就職→結婚→出産→住宅購入までが「1・2回目の貯め時」。これは、子どもが独立するまでの教育費に向けた貯蓄。

一般的に、子どもが独立するタイミングから「3回目の貯め時」が訪れます。

支出より収入の方が高い時は、人生の貯め時です。

どこでキャッシュフローが生まれて、どこでキャッシュアウトしていくのか。

それを把握して、どういうものに投資するか、何年でやろうといった視点で(資産形成と運用を)考えていただければいいと思います。

人生の支出期を知ることで、老後資金を準備し始めるタイミングも知ることができます。

老後資金はいくら必要?

結婚、子どもの入学、退職などのライフイベントを経て最後にやってくるのが、老後。

この老後に必要と言われる資金は一般的に3,000万円と言われるそうです。しかし、藤川さんはこの金額に疑問を呈します。

3,000万円を持っていらっしゃる方は、60歳以上の統計でいうと15~16%なんです。

もし、本当に3,000万円必要になるのであれば、85%くらいの方は生活できないって話になります。そんなことはないですよね?

年金手帳

写真:freeangle / PIXTA

一方、65歳以上の二人世帯(無職高齢夫婦)における家計の平均を示し、3,000万円はいらなくとも、老後に向けて戦略的に貯蓄をする必要性を訴えました。

平均的に言いますと、(老後の)1カ月の収入が21万円です。

税金、社会保険料を引きますと手取りが18万円くらいになります。

でも、実際に使っているお金は約24万円です。毎月約6万円赤字になっている。

1年間で72万円。10年間で720万円。20年間で1,440万円赤字だということです。

3,000万円は必要なくても、全国平均の生活をしようとするだけで、結構なお金がないと生活できない統計的な事実があります。

「貯蓄」のコツは前倒し

話は具体的な貯蓄テクニックに及びます。食費や日用品費、レジャー費などの「やりくり費」を下げ、残った額を貯蓄に回すーー。藤川さんは、貯蓄の順番を誤っている人が多いと指摘します。

「(この方法は)毎日毎日辛いんですよ。だからなかなか続かないんです」(藤川さん)

“使える余裕のあるお金”には、手を出してしまいがち。であれば毎月、半ば強制的に貯蓄を行う。決められた範囲内で支出をしていく。そんな流れを理想とします。

収入ー支出=「貯蓄」

収入ー「貯蓄」=支出

先に貯蓄を取っておく。こういう仕組みを作る。

貯め上手は「固定費」に恐れる

貯蓄の前倒し術と一緒に考えたいのが「固定費」。固定費こそが一番意識し、警戒すべき存在とします。

電気、ガス、水道、通信は、これくらい引き落としされるから、このくらい残しておかないといけない。

貯め上手な人は“固定費を下げること”を常に考えています。

お金が貯まる家計の方程式

説明資料より編集部作成

これまで数多くの家計を診断してきた藤川さんによると、年収が増えると生活レベルを上げ、貯蓄をしようと思うも、生活レベルを下げることができなくなるケースに陥るそう。

たとえば、保険の見直し、格安SIMの利用、電気、ガス会社の切り替え。膨らみがちな固定費を削減するメリットを話します。

一度固定費を削減したら、その効果はずっと続きます。やりくり費を減らさなくても、「生活レベルが下がらないんです」

家計を計算する様子

写真:chombosan / PIXTA

最も大きな費用がかかる固定費の対策をし、貯蓄の仕組み化を実践していけば、資産形成のスピードも上げることができます。

投資は「心が耐えられるお金」で

貯蓄の後は、資産運用。しかし、景気に変動される一面もあります。

経済ショックは大きいもので、3~7年に1回起こっている。

2008年のリーマンショックを起点に考えれば、今年で10年目……。

1987年 ブラックマンデー
1991年 バブル経済崩壊
1994年 メキシコ通貨危機
1997年 アジア通貨危機
2001~2002年 エンロン・ワールドコムショック
2006年 ライブドアショック
2007年 サブプライムショック
2008年 リーマンショック
2010年 ギリシャショック
??年 ???ショック

(今は)経済ショックと経済ショックの間の景気拡大局面ですから、リスクを考えないと。

景気が比較的良いとされている2018年現在。

しかし、好景気であるかどうかは、不景気な時よりも分かりづらい。また今は経済ショックの間の局面にいる可能性があると、考えを述べます。

そんな時こそ、「投資余力」でリスクに備えるべき、3つに整理する必要があると強調します。

  1. 守るお金
  2. 運用してもいいお金
  3. 心が許さないお金

まず、守るお金月々の生活費×6の半年分。「たとえば生活費が30万円だったら、180万円」。

病気や怪我など、何かあった時のために半年間分のお金は確保しておく必要があるとします。

運用してもいいお金は、損をしても「心が耐えられる金額」

投資額が半分になっても、心が耐えられるかどうか。それが資産運用にあたっての重要な姿勢だと強調します。

その時に頭の片隅にとどめるべきなのが、資産の割合ではなく実際の額、数字。

実際の損というのは、金額で心にきます。感情にきます。

(耐えられる金額が)100万円だとしたら、半分になることを想定して、200万円まで。

そこまでの金額だったら思う存分やってください。

人生100年時代を考えると、資産の形成と運用を長い年数をかけて行うことになります。

せっかく貯めたお金で運用する際は、「守り」の姿勢も大事。

自分なりの運用ルールを設定し、リスクも視野に入れながら、根気強く取り組む必要がありそうです。

この記事の著者

セネクト編集部

SENECT(セネクト)編集部。老後に向け、検討しておきたいテーマ、知ってると役立つ、知らないと損する制度などをご紹介します。

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